【完】黒薔薇の渇愛
「別に……怒ってない」
「うそ。いきなり『大嫌い』とか、本気で意味が分かんないんだけど。」
「……」
「また黙り?
君、都合悪くなると黙り込むの、いい加減やめたらどー?」
桜木の言葉に、カッと顔が熱くなる。
自分でも何に対して怒ってるのか分からない。
桜木の優理花さんへの冷たい態度が、奏子が私に冷たくなった時の態度と重なって見えたから?
それとも……桜木に好きじゃないって、呆気なく言われたから?
特別に思われてないことが悔しいのかな。
構われて、どこか浮かれてたのかもしれない。
何考えているか分からないからこそ、桜木のことが気になる。
私だって、最初はそれだけのはず……だったのに。
だから怒る必要なんてないはずなのに。