【完】黒薔薇の渇愛
放課後、教室の中は帰らずに談話し始める者もいれば、さっさとドアを開けて走り去っていく者もいる。
膝裏でイスを引いて立ち上がる。
昨日は桜木といたせいで、いつも通りの放課後でさえ静かに感じるんだから不思議な気分だ。
今日こそ真っ直ぐ帰ろうと、机の横に掛けていた鞄を手に取ると。
「和倉さーん、ちょっといい~?」
聞こえてきた、わざとらしい高い声に目を流す。
すると、私の周りを三人の女生徒が囲んでいた。
胸の奥が変に固まるのを感じる。
だってこの人達……奏子に助けられるまで、私をいじめていた人達だから。
「あんたの元カレのことで聞きたいことがあるんだけど、いい?」
私の肩にポンっと手を置く女は、佐川れみ子。
前まで、私をバイ菌扱いして絶対に触りたがらなかったくせに……妙に馴れ馴れしい。
黙って彼女を見ていると、れみ子の取り巻きふたりも口を開く。