【完】黒薔薇の渇愛
「ここではちょーっと話しにくいことなの」
「別にあたしらはさ、ここで話してもいいんだけど~。
岡本の"あの"こと、人目につくとこで話されると。困るのはあんたじゃない?」
"あの"ことって一体なに……?
私の興味を惹き付けるために、わざとらしい言葉を吐く女達。
本当はついていかない方がいいって分かってる。
だけど、この人たちの怒りに触れて
後で痛い目見るよりは……と思ってしまうのは、未だに心が弱いせい。
だから、こくりと。その有無を言わさない視線に従うよう、頷いた。
「さすが和倉……話が早くて助かる~。
……それじゃあ行こっか」
れみ子が逃げられないように私の肩を組むと、教室を後にした。