【完】黒薔薇の渇愛
 



どうして人目のない場所に連れてこられたか、ようやく理解した。


この人達は奏子をネタに、私を釣ったけど
本当は奏子に関して話すことなんて特になかったんだ。


完全に犯罪だ。
他人を売春させるだなんて……。


いじめも確かに罪だが
人が死ぬまで法的に罰することは、ほとんどない。


みんなが見てみぬ振りをして、黙っていれば罪ではないんだ。


けど、これは違う。

これは見られると都合が悪い。

だから彼女達は上手く隠そうとしながら、いじめの延長を続ける。



「女子高生なんて……何年ぶりだろう」


はぁはぁと次第に息を荒げる男の手が伸びてきたとき。


「……っ」


私は素早くその腕から潜り抜けて、地面を蹴り、走り出した。



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