【完】黒薔薇の渇愛
どこまで行っても最低で最悪な人生。
どうせこの先いいことなんか何一つないと思って諦めかけていたときに、奏子は私に一筋の光をくれた。
なのに……それが倍となった絶望として返ってくるなんて、誰が思う?
指先から手根まで冷たい桜木の手が私の頬を掴む。
ーーっと、次の瞬間。
「んっ……!?」
グイッと勢いよく、顔を引き寄せられ
私と桜木の唇がくっついた。
「んっ……!ちょっ、なにして」
「暴れちゃダメでしょ天音ちゃん。
お仕置きとして、もっと激しいやつ……いこうか」
そう言ってもう一度噛みつくようなキスをする桜木は、私の唇の隙間に舌をいれてきた。
生々しい音が鳴り響く。
脳内から心まで、桜木のキスは絶望を味あわせる。
いや……いやだ。
こんなこと好きな人としかしちゃダメなのに。
桜木の胸板をドンドンと殴っても、全然通用しないどころか
抵抗した罰としてどんどん激しさを増していく。
苦しくて
息ができなくて
まるで桜木の中に溺れていくみたい。