【完】黒薔薇の渇愛
「ほんっと皆自分勝手だよねー。」
バイクの停めてある駐車場まで来ると、桜木が私にヘルメットを被せながら言う。
桜木だって、人のこと言えたもんじゃないと思うけどなぁ……。
「桜木の方が、もっと……その、すごいと思うけど」
「えー、俺のワガママの方が可愛いでしょ。」
「桜木のワガママは洒落にならないもん」
「ほーん……言うねぇ。」
いつの間にか取り出されたライターでタバコに火をつけ、数秒だけ沈黙が流れると。
煙を吐き出した桜木が目を細めながら私を見る。
「じゃあワガママ言っていい?」
「へっ……?」
唐突すぎるよ。そう言う前に。
「キスしたいんだけど」
彼はいつだって爆弾を落とす。
「なっ……なに言ってんの!?」
「ダメなの」
「当たり前でしょ!!」
「そー、ダメか、ダメなのか~」