【完】黒薔薇の渇愛
思い返せば、出会ったときから最低最悪。
自分勝手。
よく抱きついてくるし、私のことすぐからかうし。
私とは正反対の人。
嫌いなタイプ。
……でも、好きになった。
なのに今度は桜木が私から離れていっちゃった。
思いを伝えてもいないのに……
何が悪かったんだろう。
毎日と言っていいほど顔を合わせていた桜木と
まったく会わなくてなって一週間が経つ。
あの『バイバイ』は、本当の意味でのサヨナラだったなんて……知らないよそんなこと、知りたくもなかったし。
「……桜木から近づいて、桜木から離れていって……ほんと自分勝手な人」
お昼休み。
屋上は鍵がかかって入れないから、のぼりきった階段に腰を下ろしてお弁当を食べるけど、ほとんど喉を通らない。
カラオケで男に襲われそうになったあの日。
優理花さんが色々仕掛けていた事と。
襲われそうになったこと。
それに桜木が離れていっちゃったせいで
私はその日部屋にこもってずっと泣いてた。
前までは部屋で泣いていたら
決まってお兄ちゃんが心配してくれていたけど。
今は誰も……私の隣にいてくれない。