【完】黒薔薇の渇愛
「はぁ……」
誰も来ないような場所で吐くため息は、ホコリを舞い上がらせている様で目に染みる。
綺麗に半分中身を残して、弁当箱を片付ける。
教室に戻って席に座るけど、私のことなんて誰も見向きもしない。
れみ子達だってそう。
あんなに私のこといじめていたのに、桜木に『バイバイ』と言われた次の日から、れみ子達からのいじめがおさまった。
逆に、れみ子の私を見る目が『恐怖』に近い。
少しでも近づけば、ビクッと過剰に反応して逃げていく。
多分……桜木が何かしたんだろう。
それか、れみ子達を裏で操っていた優理花さんに何かが起きたんだろう。
その辺のことはよく分からない。
だってもう私には関係のないことだから。
……関係ないってそう思いたいけど。
やっぱり桜木がいないと全然楽しくない。
今になって気づく。
桜木の隣は……すごく居心地がよかった。
そんな桜木はもういない。
もう、いないの。