【完】黒薔薇の渇愛
「なんで……なんで居るの」
「……」
「あの日、なんで私のこと無視したの」
「……」
「なんで私のこと……置いていったりするの」
「……」
「もう私のこと構いたくなくなった……?」
「……」
「答えてよ桜木」
言いたいことや聞きたいことがいっぱいある。
彼が答えなくても、一気に聞きたくなるのは気持ちが溢れて、もう掬う気すら起きないから。
ねえ……桜木、わたしね。
「好き……」
「……っ」
「好きだから……離れられると、寂しいよ」
雰囲気も、ロマンチックさも、タイミングだって。空気なんか読んでる暇なんてない。
ただ彼を引き留める術が、これしか思いつかないだけ。
返事を聞かせてなんて言わない。
ただ言えなくなる前に言わせてよ。
好きなだけ、好きだって。