【完】黒薔薇の渇愛
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「まーだ眠り王子やってんだね、大地さん」
お兄ちゃんが眠る病室に戻ってきて、桜木はすぐにベッドの上で眠っているお兄ちゃんの顔を覗く。
部屋のドアをゆっくり閉めて、私も桜木の隣に立ち、お兄ちゃんの顔を見る。
心なしか、お兄ちゃん……さっきよりも顔色よさそうに見える。
「ねぇ……」
「なあに」
「なんで桜木は、お兄ちゃんのこと知ってるの?」
私にお兄ちゃんがいることは言ったけど
入院してることまでは言ってない。
それに桜木がここへ来た時の様子だと、ここに何回も通っている感じがする。
「知りたい?」
「へっ?」
「天音ちゃんのお兄ちゃんとどういう関係なのか知りたい?
それとも、俺のことだから知りたいの?」
「そんなの……どっちもだよ」
好きな人のことは、知りたくなって当然でしょ。