【完】黒薔薇の渇愛
「そっか、じゃあ教えてあげる。
天音ちゃんには特別だよ?」
「……」
「告白の返事、まだ出来ない代わりに。
ついでに俺のことも教えてあげるね」
「桜木の……こと」
近づけば、近づいた分だけ離れて行ってしまいそうな男に。
やっと本当の意味で近づけたと思う。
桜木のすべてが知りたい。
「教えてよ……桜木のこと」
私がそう言うと、少し嬉しそうに彼の口角が上がる。
「天音ちゃん、ほんっと俺のこと大好きなんだから。」