【完】黒薔薇の渇愛




中学に上がると、小学生ではそれほど問題視されていなかったことが大きく膨らんでいくのを肌で感じた。



中学一年生の頃の家庭訪問では。
出されているお菓子は食べずに、茶だけを飲んでいく担任から。



「桜木君は少し、他人に興味がないところがありますね。」と言われ。



中学二年の時の三者面談では。



「協調性に欠けています。」と、先生にハッキリ言われた。



他人同士の喧嘩を止めるとか。


学級で飼っている動物が死んだ時は涙を流さないといけないだとか。


いじめられてる奴は助けなきゃいけないとか。



全部他人事であって俺には関係ないのに。
それが"一番"の悪だと、(みな)は批判する。


助け合わなきゃダメらしい。


その気持ちが良く分からない。


深く関わってもいない、横を通りすぎるだけの人間に

どうして情が持てるのか。


そっちの方が分かりづらい。




他人の欲望に引きずりこまれたら、溺れたままもう帰ってはこれない。



俺は俺でしか生きられないんだから
俺に何も求めないでほしいと強く思う瞬間が、ずっと心をいじくりまわしていた。



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