【完】黒薔薇の渇愛
それからは、夜の街で仲良くなった先輩の家を転々としたり
未成年だと分かっていながら見て見ぬ振りをする店員がいるカラオケに朝まで入り浸ったり。
とにかく家には帰らなかった。
家に帰りたくないから、学校にはちゃんと行った。
けど、先輩に呼び出しされると授業中にも関わらず先輩のとこへすっ飛んでいく。
早いんだか遅いんだか、気づけば中学三年生になっていた。
我ながら規則正しくない生活を送っていた。
そんな時、先輩の連れで紹介されたのが
雪羽と朱光だった。
朱光は俺と同い年で、雪羽はひとつ年下だったけど
何だかんだ一番落ち着いていた様な気がする。
先輩抜きにしても、ふたりとは関わることが多くなっていった。
深夜徘徊、夜の街でパトカーのサイレン音が鳴り響く。
その日は泊まるところがなく、俺と朱光と雪ちゃんは街をブラついていた。
ーーっと。
ドンッと誰かの肩と俺の肩がぶつかった。
眠らない街は、朝と昼に負けず劣らず人の行き来が激しかったから
前から来る人間とぶつかる事も珍しくない。