【完】黒薔薇の渇愛




俺と母さんの会話を聞いていた朱光に調べさせ、俺は電話に戻る。



「……言っとくけど、母さん。
 俺、あんたの為に動いてるわけじゃないから」


『……』


「そこんとこ、夜露死苦(よろしく)!!」


『……』


「……」


『あんたね、表現が古いのよ』


「まーね。
 てか、姉さんのことは俺に任せてよ。
 もう切るねー」


『ちょっ……桔梗』


「じゃあねー」



タップして一方的に電話を切った。


自然に話すことができたのは、何か踏ん切りがついた証拠だろうか。


母さんと俺の間に、許すとか許さないとかなかった。


ただ結局最後は、頼られるのが俺ってだけの話。



「ごめん」と素直に謝れない母親に、自分を重ね合わせていた。



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