【完】黒薔薇の渇愛






「本当に俺は、大地さん関係なしで天音ちゃんを見てるんだろうか、って。」


「……」


「大地さんへの恩を感じて、自分は天音ちゃんを守ろうとしてるんじゃないか。
 大地さんは今までの人とは違う、俺への情けのかけ方だったから……人として特別に感じてる部分があるんだよね」


「……」


「じゃあ……やっぱり、天音ちゃんのことすっごく気になるのは、大地さんの妹だからなんじゃないかって思っちゃう」


「……」


「よく、分かんないんだよね自分でも。」


混乱している桜木を見てると、自分が傷つけたんじゃないかってズキッと胸が痛みだす。


前からずっと思ってた。


お兄ちゃんみたいな優しい人になりたいって。


だけど今は、桜木にこうも思われてるお兄ちゃんが羨ましい。



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