【完】黒薔薇の渇愛
少しでも、お兄ちゃん関係なく
私を感じてほしいと思ったから。
桜木の手を引っ張って、両手で彼の手をぎゅーっと握る。
私の意味不明な行動に、桜木はポカーンとマヌケ面を晒す。
「なにしてるの」
「ドキドキしない……かな?しないよね」
「なあに天音ちゃん。俺が女の子に触れられる程度でドキドキすると思ってんの」
「……じゃあどうすればドキドキしてくれるの?」
桜木は悪い顔で笑う。
「もっとさ、あるでしょ。男女がすること」
「……」
「ははん、無視が始まっちゃいましたよこの子。
やっぱりお子様の天音ちゃんには無理か」
「……っ」
ゲラゲラと笑いながら、頭を撫でて子供扱いしてくる桜木にムッとする。
「私だって本気だせば、頑張れる……よ!」
「なにを?」
「か、会話とか……?」
色仕掛けなんて、私にできるはずがない。
そんな私を見て、桜木は盛大に吹いた。