【完】黒薔薇の渇愛
吐き捨てる様に哲が言うと、急に鎖骨を手のひらで押され倒される。
狭い車内。
過ぎ去ったばかりの冬が残していった、気温の低さに肌寒さを感じる。
「どうする気……?」
「決まってんだろ、これからやるんだよ」
「……っ」
「そうそうその顔。
その怯えた顔が桜木の手土産になんだよ。」
ーーブチッと、制服のボタンが外された。
気持ち悪い男の手が、私の肌に吸い付く。
「痛い思いしたくなきゃ、黙ってろよ」
「やっ……!」
「言ってるそばから抵抗してんじゃねーよ」
そう言って、男は私の鎖骨より少し下の部分にチリッ……と噛みついてきた。
それが焼ける様に痛く、容赦ない男の唇が私に跡を残した。