【完】黒薔薇の渇愛
見下す様な、怖い目。
彼の目は黒で濁って、先が見えない。
っと、次の瞬間。
「あっ……!?」
男に噛まれた場所に、容赦なく桜木は歯を立てる。
チリッとまた、痛みを感じ熱を走らせる肌は
分かりやすいくらい、さっきの男じゃ感じなかった甘さにグラグラと脳が揺れる。
「やっ……、桜木ちょっと待ってよ!
やめてよ!!」
「俺以外の男に触らせるとか、絶対許さない」
ジタバタと暴れたところで桜木の力には敵わない。
なに……もうほんと意味分かんない。
どうして桜木は、こんなにも。
「なんで怒ってるか、言ってくれなきゃ分かんないよ……」
私がひとりグルグル、グルグルと考えたところで
意味が分かんなすぎて、泣けてきた。
闇に紛れて見えない桜木と目が合った気がする。
「怒る理由……?
こんなことされて怒らねーのか?お前は」
「でも……だからって、桜木まで私に乱暴しないでよ」
「なんであいつらは良くて俺はダメなんだよ」
「……は、い?」
桜木の言ってることの意味が分からない。
でも。
「ちゃんと答えてよ!!どうしてそんなに怒ってるの……!?」
「……っ」
「いつもの桜木らしくない!!」
「そんなの俺が天音ちゃんのことーー……っ」