【完】黒薔薇の渇愛
次の日、不安になって桜木に何回電話しても
一向に繋がらない。
「なんで出ないの……」
昨日の私の不安は間違いなんかじゃなかった。
だけど桜木を引き留める勇気だってなかった。
「……っ」
桜木のバカ。
もし無茶なんかしてたら、絶対に許してあげない。
昨日はあんな事があって病院に行けなかったから、待っててくれたお母さんにこっぴどく叱られるし……。
「せっかくお兄ちゃんが起きたのに……もうなんなのー!!」
一難去ってまた一難。
どうしても気になる桜木の事を放ってはおけなくて
春休み初日から私は慌てふためく事になる。
「お母さん行ってきます……!」
「どこに行くの?
今日こそお兄ちゃんのお見舞い……」
「行く!けど、どうしても行かなくちゃいけないところがあるから……」
「もおー、絶対お昼までには帰ってくるのよ」
「はーい!!」