【完】黒薔薇の渇愛
ドタバタと落ち着きのない娘を見送るお母さんを横目に、私は家から飛び出して桜木の行きそうな場所を必死に探した。
太陽の光が眠気を誘う公園のベンチ。
野良猫の隠れ家と化してる薄暗い路地裏。
実はあっさりコンビニになんか居たりして……。
「って……いないじゃん!!」
どこを探しても見つからない桜木に頭を抱える。
もしかして意外と住んでるアパートに引きこもってたりして……?
まだ寝てるのかな。
でも電話取ってくれないし、折り返しもない。
昨日あんな別れ方したんだから
そんなの当たり前、不安になっても仕方ないじゃん。
休みの朝の街は、意外と人が多く
余計桜木を見つけるのが困難に思える。
すると。
どこからか聞こえてくるエンジン音。
それは次第に大きくなっていき、私が振り返ると同時に、バイクの音は真横で止まった。