【完】黒薔薇の渇愛
「天音さん……っ、やっと見つけた!!」
焦った声を出す雪羽さんは、どうやら私を必死に探してたみたい。
バイクの音ですぐに反応しちゃう私は、桜木の隣にいすぎたのかも。
「雪羽さん……桜木が電話してもとらなくて……」
「俺らも何度もかけてるんだけど……桜木さん、全然とってたくれないんだよ。
てっきりあんたと一緒かと思ったんだけど」
ふるふると首を横に振ると、残念そうに雪羽さんがため息を吐く。
「……あんたと一緒じゃないってことは、やっぱ泥隷のところか。」
「"泥隷"……?」
「昨日あんたを拉致ろうとした奴らのチーム名。
桜木さんはこの件に関して逢美全体手出し禁止って言ってたけど……どうしても気になってさ。
朱光さんが車のナンバー調べて、正体突き止めたら……まさかの泥隷だったってわけ。」
「この人たちは、ヤバい人たちなの……?」
「というよりも。今まで逢美に手を出してくる奴らなんて、そうはいなかったから。
まあ、出来てそう日が経ってない逢美に、ここまで大きくなられたら……元々あった泥隷に目の敵にされても仕方ないと思うけど。」
「……」