【完】黒薔薇の渇愛
誰が敵とか味方とか。
恨むとか恨まないとか。
やっぱり私にはよく分からない世界だ。
それでも。
「ねえ雪羽さん」
「ん?」
深く桜木と関わりたいと思ったのは自分自身。
昨日のことで、桜木が自分のことを責めてるなら
それは違うよ。
私が桜木の隣にいたいだけなの。
「今から桜木の……泥隷のところに行くの?」
聞くと、雪羽さんは私から目を逸らす。
「そー……だけど。
あんたは一緒に来ちゃダメだよ」
「……どうして?」
「女をあんな場所に行かせるなんて、危ないに決まってる。
それにそこに桜木さんがいるかなんて、まだ決まってないし」
「でも、いるかもしれないんでしょ?」
「……まあ」
「なら行く!」
「だから……俺の話聞いてた?」
ため息を吐く雪羽さんは心底めんどくさそう。
それでも。
「行くったら行くの!!」