【完】黒薔薇の渇愛









「それで……?
 雪ってば天音ちゃんの勢いに根負けしたってわけですか。」


「聞いてくださいよ朱光さん……。
 この女、俺のバイクの後ろに無理矢理乗ってきたんですよ」


「さすが桜木さんのお気に入りの子。
 いやー、根性が違うね~」



雪羽さんとの言い合いの末
流れていく時間に焦りを感じ、強引に乗ったバイク。


その後超絶不機嫌な雪羽さんに申し訳なさを感じたけど。
何とか泥隷の倉庫があると聞かされた、近辺までやってきた。


そこで朱光さんと合流。



街から少し離れれば田舎だ。
辺りは草木しかない。


敵の陣地でもあるから、無駄に騒ぐ必要はないとここからはバイクをおりて徒歩になる。



「もし桜木が泥隷の倉庫にひとりで行ってたとしたら……さすがの桜木でも危ないんじゃないんですか?」


想像するだけで怖いのに。
怯えついでに口に出してしまうと。


雪羽さんと朱光さんが顔を合わせて数秒後
なぜかふたりは笑い始めた。




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