【完】黒薔薇の渇愛






「桜木さんが危ないって……想像できねぇ。
 だってあの人……」


愉快そうに喋る朱光さんに気を取られていると。

ーーガッ、と。足先に何かが引っ掛かり、「わあ……!」と情けない声をあげ倒れそうになってしまう。


けど。


「足下……気を付けろよ。」


雪羽さんが私を引っ張ってくれたおかげで、なんとか転ばずに済んだ。



「あり……がとうございます」


「……別に」


素っ気なく返す雪羽さんってば、ツンデレだよね。


ここに私を連れてきたがらなかったのだって、危ないからって理由だったし。


「ふふ」と、ひとり。ほっこりして、何に引っ掛かって躓いたのか気になり、気味の悪い笑顔のまま下を見てみると。



「~~っ!?!?」


声にならない悲鳴をあげてしまった。



私を躓かせたそれは……。


「しっ、死体!?」


なんでこんなところに人が倒れてんの!?


ていうかこの人……なんでこんなにボロボロなの。


これってやっぱり……。





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