【完】黒薔薇の渇愛






「桜木さん、やっぱこっちに来てるね~。」


へっぴり腰の私と違って
人が倒れてるっていうのに、朱光さんってばまったく驚いてる様子がないどころか
桜木がここにいるって確信し始めてるし……。



「あ、朱光さん!?
 ひ……人がぁ」


「はは、それ絶対桜木さんの仕業だから気にしなくていいよ」


「へっ?」


「さすがの桜木さんでも敵相手に何十人も囲まれちゃ、危ないけど。
 あの人そうならないように、もし敵の陣地行く場合はジワジワと一人ずつ追い詰めていくタイプの人間だからさ~。」


「それ笑い事じゃなくない!?
 てか桜木って……分かってはいたけど容赦ないよね」


「まーね。あの人だけは敵にまわしちゃいけないって、一緒にいてつくづく思うよ。
 あー、仲間でよかったあ」


「……」



朱光さんって、ほんと調子いいよね。



てか倒れてるこの人……
よく見たら昨日私を拉致ろうとした、助手席にいた黒髪の人じゃん。


ってことは、やっぱり桜木はここにいるってこと?




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