【完】黒薔薇の渇愛




「気絶してるだけだから大丈夫。しばらくしたら起きるよ」と朱光さんに言われ。

気になったけど、先を進む。


しばらく歩くと雑木林に潜んだ、泥隷の倉庫が見えてきた。



すると。



ーーバキッ!!と、倉庫の中から鈍い音が聞こえてくる。

その音に、肩が分かりやすくビクつく。



「あーあ……やってんねぇ」


「手加減しないですしね、あの人」


中で何が行われているのか、察してるふたりが呑気に呟く。


怖いって思ってるのは私だけ……?


朱光さんも雪羽さんも喧嘩に慣れてしまってる。


感覚が、あまりにも違いすぎる。




「なに突っ立ってるんですか……!
 早く桜木を止めなきゃ……」


「こっからは雪羽も俺もノータッチってことで。」


「……え?」


「元々俺ら、関わるなって桜木さんに言われてるから。
 嫌って言っても言うこと聞かないでついてきた天音さんが悪いよ。
 言ってる意味、分かるよね……?」

「意味……?」


「今桜木さんのこと止められるの、あんただけって、そのまんまの意味」


「……っ」





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