【完】黒薔薇の渇愛
言いかけた言葉が止まる。
彼の唇によって、思考も言葉も……理性だって、甘く溶かされてしまう。
「んっ……!」
吐いた息。
鼓動のリズムすら乱される。
離れて、くっついてを繰り返す互いの唇は
重なる度に愛を感じて、離れる度に寂しさを嘆いてた。
「責任……感じるほど、悪いけど性格できてないんだよね」
「はぁ……」
「俺がどれだけ君を好きだか、本当に伝わってない?」
「でもお兄ちゃんに恩を感じてるなら、別に私は」
「大地さんは関係ないよ。」
「……っ」
「気づくのが遅かったけど。
やっぱ大地さん抜きにしても、君のこと守りたいって思ったし、一緒にいたいって思った」
「……」
「手の震えがとまらないのは、痛いこと大っ嫌いな天音ちゃんに……倉庫でそういうとこ見せちゃったから、嫌われたんじゃないかって怖くなっただけ」
「うそ……」
ギュッと、私の手首を掴んでる桜木の力が強まる。