【完】黒薔薇の渇愛





言いながら寝転ぶ桜木。


最初はあんなに私のこと雑に扱ってきたくせに
今じゃあ無防備な姿見せてくれるまでお互い一緒に居るんだから……ほんと人生なにが起こるか分からないよね。



チラッと。ふいに目に入る時計。


一度見て、桜木を見て、もう一度時計を見ると。



「しっ……しまった!!」


「こんどはなに」  


「お母さんとお兄ちゃんのお見舞い行く約束してたんだった!!」


お昼の時間はとっくに過ぎ、チクタクと針を動かす桜木の部屋に取り付けられてる時計の音が怨めしい。


白いカーテンに滲んだ夕焼け色が眩しい。



「……お母さんに怒られる」


「そっ、じゃあ一緒に謝ってあげる」


「へ?」


「俺のせいでもあるしね」



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