【完】黒薔薇の渇愛
伸びをしながら体を起こし、テーブルに投げておいたバイクの鍵を持って桜木が玄関に向かうから。
私もその後を追って、桜木の部屋から出た。
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「あ~、どうしよう」
さすがにバイクだと私の家まで着くのにそれほど時間はかからなかったけど
さっきから上手い言い訳が思いつかず
自分の家の前でウロウロしてると。
ピンポーンと、桜木が空気を読まず家のチャイムを鳴らす。
「ちょっ……桜木」
「言い訳なんて考える暇なんかないでしょ。
さっさと謝りましょー」
えっ……なにこの人
まともなこと言ってるんだけど。
桜木のくせに。
「はーい……って、天音!!
あんた今までどこほっつき歩いてたの!?」
ドアが開かれ、中からお母さんが出てくると
予想通り私を視界に入れた瞬間、頭にツノを生やす。