【完】黒薔薇の渇愛
お母さんの目が、桜木から私に移る。
「……彼氏と行きたかったんなら、そう言えばいいじゃない」
「えっ!?」
「でも、早く会ってあげないとお兄ちゃん拗ねちゃうわよ?
『天音は?』って、ずっと言ってるし」
「……お兄ちゃん」
「もちろん、桔梗君のこともね。」
「「……っ!?」」
知ってるはずのないお母さんが桜木の名前を口にするから
桜木と互いを見て驚く。
そんな私たちを見て、お母さんは笑った。
「トルコキキョウ持ってきてくれる男の子がいるって言ったら、大地が『桔梗だな』って即答してたわよ。
だからあなたも、早く大地に会ってあげてね?」
「はい」