【完】黒薔薇の渇愛
「大体、単身赴任中の父さんでさえ、俺の様子見に飛んで来たってーのに。
天音も桔梗も全然俺に会いに来ないで」
グチグチと文句を言うお兄ちゃん。
「だから会いに来る度、お兄ちゃんってば眠ってるんだもん」
「大体お前らふたりは……って、ふたり!?」
体を動かせない兄が、目だけで驚きを訴えてくる。
……今さら気づいたの、お兄ちゃん。
「なんでお前らふたりでいんの!?
知り合いでもなんでもないはずじゃん」
お兄ちゃんの焦りに、桜木が悪い顔になる。
「大地さーん、ごめんね?
大地さんが眠ってる間
天音ちゃんと愛育んでました」
「はあん!?」
「大地さんの大事な天音ちゃん、これからは俺のだから。
よろしくね?お兄さん」
「だれがお前のお兄さんじゃー!!
俺が眠ってる間に天音に手出すなんて……!
見損なったぞ桔梗!」
「なんとでも言ってどうぞ。
もう返してあーげない。
ずっと眠ってる大地さんが悪いんじゃん」
「ききょー!!」