【完】黒薔薇の渇愛
真剣にそう伝えると。
桔梗は盛大なため息を吐き。
「抱く」
「えっ」
「絶対に近いうち抱くから」
「えっ、えっ」
「今は抱き締めるだけで我慢しといてあげるね」
そう言って桔梗は、飛び付くように私に抱きついてきた。
全身全霊であなたに大好きって伝えたい。
だから私も、少しの照れはあっても
戸惑うことなく彼の背中に手をまわした。
今日も明日も明後日も。
抱き締められたらいいね。
いろんな花の名をもつ
花束みたいな君を。
(おしまい)