【完】黒薔薇の渇愛





「やだなー、もう。
 地味な顔してほんと激しいよね~天音ちゃんってば」


「……っ!?」


わざとらしい、いやらしい声がシーツ越しから聞こえてきて、ビクッと肩を震わせる。



「あっ、ちょっとそこ俺弱いんだから~。
 そんなとこ触んないでよー」


「……ねえ、気持ち悪い……です」


「ハッ、なんで敬語?」


シーツに身を隠していた桜木が、上半身を起こして顔を見せる。


色々思い出して、桜木を叩いた後からの記憶がない。

多分意識が飛んだ……んだよね?


だって別に……どこも痛くないし
桜木に何かされたわけじゃない……って。



「えっ!?」


どうして自分が今まで冷静でいられたのか不思議でしょうがない。


なんで私……桜木と一緒のベッドで寝てるの?


そっ……それに桜木、上半身裸なんですけど……。



し……下は。


「もちろん穿いてるよ~、天音ちゃん。
 事故なんて起こしてないから気にせずに。」



私の思考を素早く読み取った桜木は
ペロンとシーツを剥がして全身を見せてくる。


思わず声にならない悲鳴をあげるけど、確かに下はちゃんと穿いていて驚き損だ。




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