【完】黒薔薇の渇愛
桜木はベッドに座ったまま、床に素足をつけグルリと体を曲げて私を見る。
輝きを失った黒い目にジッと見つめられ、聞きたいことや言いたいことがあるのに、桜木は私を見つめるだけで黙らせる。
「……ほーんと、世話が焼けるね天音ちゃん。
あの場で普通気絶する?
俺なにもしてないのに~」
「……き……ぜつ?」
「そっ。
あぁ……なにもしてないは嘘。
君のトラウマに触れちゃったのは俺だったね、ごめんごめん」
「……」
全然申し訳なさそうじゃない……。
ちょっとムカつくけど、言い返したら倍になって返ってきそうだからやめとく。
「て……てか、あの。
帰ります……」
四つん這いの体勢でギシギシとベッドの上を移動しながら帰ろうとすると。
ーーグイッと手を引っ張られ、桜木の腹筋に勢いよく顔を埋めてしまう。
すぐに起き上がろうとするけど、両手を桜木の両手で持ち上げられ
自然な上目遣いで彼と目が合う。