【完】黒薔薇の渇愛




「なっ……なにするんですか」


「おっ、かしいなー。
 倉庫に居たときは威勢がよかったのに。
 急に大人しくなっちゃって、どうしちゃったの君」


「べ、別にどうもしてません……。」


「あっれー?ため口だったはずなのに、なんでさっきから敬語なの。
 もしかしてベッドの上では大人しくしちゃうタイプ?」


「……」


「普段と変わらないなんてギャップってものを理解してないね~、天音ちゃん。
 天音ちゃんみたいなのは、ベッドで乱れてくれた方が無い色気も出てくるってもんだよ?」


「……」


もう嫌だこの人。


なんでこう、思ったことを口に出しちゃうかな……。


ふんっ、と。どうしようもない抵抗でそっぽ向けば、今度は頬を掴まれ無理矢理目を合わせられる。



……なんだろう、さっきから。


桜木は出会った時から、人の目を見たがる。




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