【完】黒薔薇の渇愛
「ーーなら、好きにすればいいじゃない。」
ヤケクソだった。
寝ている時も、ずっと掛けっぱなしだったメガネの重さで、耳がさっきから痛くてしょうがない。
メガネを外して、涙で潤った目で桜木を見上げる。
「……ふーん、上等じゃん。
"好きにしていい"ねぇ……」
「……」
「そんなこと言われたら、俺本当に好きにしちゃうタイプの人間だけど、いい?」
「……」
「まあ今更嫌がっても遅いけどね」
桜木は私の手からメガネを奪い取ると、それをそこら辺に適当に投げ捨て。
私の手首を引き、さっきまで一緒にいたベッドに押し倒される。
「ごくり」と唾を飲む音が、頭の中で響く。
押し倒されたまま、見下され。
体は正直で震えているけど、もうどうなってもいいと思う気持ちはまだ心にこびりついたまま。
だから抵抗しようとは思わない。
このまま……大っ嫌いな桜木に抱かれて
それからのことは、これから考えよう。
きっとまだまだ、私の不幸は終わらないのだから。