【完】黒薔薇の渇愛
「ってことで。こう見えても忙しい俺は用事ができちゃった。
天音ちゃんともっとたーくさんイチャコラしたいけど、今日はここまで。」
「なっ……!?」
「まあ、もう会わないと思うけど。」
部屋から出ろと、言われなくても分かる桜木からの雰囲気での命令に従う。
一直線に歩けば、真っ暗な玄関に人間がふたり。
少し窮屈に思えた。
「あっ、の。」
「ん、なーに?」
「奏子は……これからどうなっちゃうんですか?」
桜木がドアノブに手をかけた瞬間、ドアを開かれる前にどうしても気になっていた事を聞いてしまう。
きっと、外に出たら。答えてくれないような気がしたから……今しかないと思った。
「どうしてそんなこと、天音ちゃんが気にするんだろうね?」
「……」
「裏切った人間の心配なんて、君。なかなかイカれてんじゃん」
「……心配とか、そんなんじゃない、です。
ただ……」
「ただ?」
「……」