【完】黒薔薇の渇愛
でも、こればっかりは確かに桜木の言う通り。
裏切った奏子を、ましてや私を"売る"ために近づいた汚い男のことなんか心配する必要もないし、さっさと忘れた方がいいに決まってる。
だけど……だけどね。
次の日、奏子は学校に来てなかった。
いつも座っている、教室の一番後ろの席で眠っているはずの彼が今日はいない。
それがなんだか怖くて。
桜木や桜木の仲間に何かひどいことされたんじゃないか。
今も怖い思いしてるんじゃないか。
ーー私は本当に、このまま黙って奏子を見捨てることが果たして出来るんだろうか。
頭のなかがグルグルと回って気持ちが悪い。
ボーッとした頭で授業を受けていたせいで
今日の授業内容は頭に入っていない。
気づけば放課後を迎えていた。