【完】黒薔薇の渇愛
気づけば家の近くのコンビニまで来ていた。
立ち寄れば衝動買いを初めてしまうコンビニも
冬のせいか、冷房が利いてる時点で入る気が失せてしまう。
入るのはやめて、駐車場を引き返そうとした。
すると。
「なあー、そろそろ俺らも戻らねえとやばいんじゃないか?」
「バカ言え。あの逢美相手に俺らが敵うと思うか?」
駐車場で降りるか降りないかハッキリしない、地に足をついていてもバイクに跨がったままの男ふたりが私の興味を引く話をしている。
"逢美"
桜木率いる暴走族の名。
昨日だけでも嫌と言うほど聞いたその名を口にした男たちも、どっからどう見ても不良で。
「つーかよー、奏子も余計なことしてくれるよな」
「だよなぁ。まさかあの桜木の姉、男に売って金儲けしてたなんて……。
運悪いつーか、自業自得つーか」
「その自業自得に火炎である俺ら全員巻き込まれてるんだから、たまったもんじゃないよな」