【完】黒薔薇の渇愛
自業自得
火炎全体が奏子の失態に巻き込まれてる。
……まさかここで、火炎のメンバーと出会うなんて。
これは運命か
はたまた神の導きか。
でも……もう一度、奏子に会いたいって思う。
それに、桜木のことも放っておけない。
奏子には、いじめから救ってもらったときの恩を返すだけ。
それだけ。
だから別に、また恋人同士に戻りたいと思うほど私は恋に盲目な人間にはなれない。
でも桜木は……。
桜木は嫌な奴たけど、気を失った私を見捨てはしなかった。
会いたくないのに、気になるだなんて。
私の桜木への気持ちは矛盾してる。
まったく読めないあの男。
読めないから……遠慮がない。
遠慮がないってことは、奏子になにをするか分からない。
助けなきゃ。
奏子が酷いめに合わないように。
桜木が……自分の手を汚さないように。
どっちとも助けなきゃ。
「……ふっ」
思わず鼻で笑ってしまう。
自分のことになると弱いくせに
人のことになると見捨てられない自分は、相当甘い人間だと思う。
だけどまさか、自分がそんな人間だったなんて
"あの人たち"と関わるまで分からなかった。