【完】黒薔薇の渇愛
「奏……」
ハッと吐き出そうとした言葉を止めたら、息まで零れる。
……ここで『奏子』と気安く呼んだら、奏子側の人間だとバレてしまう。
岡本奏子の女"だった"
それがどうした。それでおしまい。
奏子と桜木の元へはいけない。
自分の存在価値をアピールしなければ、相手にされないことを知っている。
だったら……この方法しかないじゃん。
怯える表情を掻き消す私はまるで女優のような立ち振舞いで、さっきとは打って変わって強気な態度で男たちを睨む。
かと思えば、口角を下げ、バカにしたように鼻で笑った。
「あなた達が……逢美の桜木……ううん、"桔梗"を敵に回したバカな奴ら?」
「「ーーッ!?」」