【完】黒薔薇の渇愛




ピリつく空気を肌で感じ、今にも主導権を男に持っていかれそう。


こ……怖い。


今にもボロがでちゃいそう。


今さら素を出したところで、痛い目にあっておしまいなんだろうなあ……。

だったらやり通すまでだよ。


あのふたりに会うまでは、強気な私でいなきゃ
絶対桜木には届かない。



ーーグッとスキンヘッドの男が私の胸ぐらを掴む。


喉が絞まった変な声が出そうになったけど、なんとか唾を飲み込んで押し戻した。



「公の場で、しかも女の子の胸ぐら掴むなんて……通報されてもいいの?不良さん」


「知るか。お前が何者か名乗らないなら力ずくでこの場で吐かせてもいいんだぜ?」



ダメだ。

コンビニの駐車場じゃ一目につく。


さっさとこの、お芝居じみた会話を終わらせなきゃ時間の無駄だよ。


コンビニの雑誌コーナーから、立ち読みしながら私たちの事をチラチラ見ている人や、駐車場に車を停めたまま動かない人。


コンビニの前を通る、学校帰りの学生。



皆が私たちに好奇心の目を向けている。



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