【完】黒薔薇の渇愛





今度こそ本気だ。


さっきよりも低い声で言われ、身体が震える。


だけど。


「ーーはぁ?」


ガシッと。立ち上がろうとする彼の手を引いた。

忠告されたばかりなのに、思いがけない行動をとる私に、桜木は静止画の様にして動きを止めた。



「……っ、ねぇ俺の話聞いてた?」


ギュッと掴んだまま、離さない。話だってできない。


だけどこれが精一杯なの。


怖いけど、そんなことはどうでもいい。


痛いのは嫌だから。


痛いのだけは見逃せない。



たとえ奏子が悪かったとしてもーー……。



「あまねちゃ、」と名前を言いかけた桜木が私に向かって手を伸ばしてきた次の瞬間。




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