いつかメロディを。
「大丈夫ですか?」

ほかの先生は急いでるのに、前川先生はのんびりとしているのに少し不安になった。

「時間?ああ、多分。」

そう言って前川先生はのんきそうに荷物の山を抱えた。あたしは先生の後にとことこついていく。あたしは先生の脇から落ちそうなプリントをきゅっと抜き取った。見てみると、ただの学級通信だった。

『One Hrart〜Sharing possibility〜』

心をひとつに〜分かち合える存在〜…?
ありがちだなあ。

内容は、二学期からはプールが始まります…みたいな。


「おー、三宅大丈夫かー?」


遅刻寸前のあたしと同い年くらいの男の子に先生は声をかけた。先生も彼もヘラヘラと笑い、急いでいる様子はない。


「先生人のこと言えないっすよー?」

「はは…」

「その子、昨日言ってた転校生?」

「あー、ばれたか。」


仲良さそうに2人は喋る。昨日、あたしのことを紹介してくれたのかな。なんか紹介するとかそんなこと言ってたような気もしなくないけど。


「じゃ、先生お先ー!」


三宅くんと呼ばれた男の子は軽やかに走り出した。遅刻間際だから、走っても何も言われやしない。

「あたし達は大丈夫なんですか?」

前は遅刻すると相当怒られたなあ。あたしは1回もしなかったけど。

「いつも遅れてるから大丈夫!」

先生は笑顔でそう言ったけど。それで、担任はちょっと心配かも。
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