いつかメロディを。

私の席の前の子は、さっきの長い髪の毛の女の子だった。

「咲希ちゃん、よろしくねー！」

振り返って人懐っこそうににっこりと笑う。

「うん！」

あたしもついつい笑顔になった。

「じゃあ、ミーティング始めるぞー。」

先生がそう言っても、まだあたしをチラチラと見る人は少なくなかった。先生はあまり気にしなさそうに話を続けている。

「ねえ、どこから来たの？」

ミーティングが始まったのにも関わらず、ぺらぺらと喋る彼女。

「え、ちょっとまって、名前聞いてもいい？」

あたしはあわててそう言う。彼女は一瞬目をぱちくりとさせて、ふわっと笑った。

「あ、ごめんね！川郷瑞月っていいます！」

瑞月ちゃん、可愛い名前。
長い髪、つり目でものすごく色が白いのは、なんだか猫っぽくて瑞月らしいっちゃ瑞月らしい。唇も真っ赤で美人。

「橋爪咲希です！って知ってるか。」

瑞月ちゃんはうん、知ってる、と笑う。そして

「さっきの質問、覚えてる？」

といった。
どこから来たの？のことかな。と思い、他の人が聞いたらびっくりするくらいなんの抵抗もなくあっさりとあたしは言った。

「あ、えっとね、ウィーンから来た！」

瑞月ちゃんは大袈裟なくらいびっくりして

「えー！嘘でしょ？ウィーンって、、イタリアだっけ？」

可愛らしく間違えた。

「ううんー、オーストリアだよ。」

あたしはくすくすと笑いながら言った。