たまには甘えていいんだよ
お粥を作り終わり、ベッドに運ぼうとした所で、壱斗が起きてきた。

「お粥までほんとにごめんな、もう大丈夫だから」

そう言う彼の顔色は寝てスッキリしたのか、少し良くなっていた。


「体調ちょっとは良くなったみたいね。良かった。ならお粥食べてお薬飲んでもっかい熱測る?」


「ほんとに今日のあいり、母親みたいだなぁ、まぁこれも悪くないかも」

そう言う彼の表情にはいつもの優しい笑みが浮かんでいた。

お粥も食べきり、薬も飲んだ所でもう一度熱を測ってみた。


ピピピピッ


「37.8度、回復はやっ。でもまだまだ寝てなきゃだね。今日はこのまま寝る?」


「んー、ちょっと寝すぎたからいまは寝れないかなぁ。」


そう言いながら彼は微笑んだ。


「あいりのこと襲ったら寝れるかも」


優しい顔をしながらとんでもないことを言った壱斗。でももう私も限界だった。


「お、襲われたいです…」


「よく言えました。ほら、おいで?」



そう言いながら腕を広げる彼の顔にはいつもの優しい表情はなかった。誘うような、不敵な笑みを浮かべていた。積極的な壱斗も悪くないな、なんて思いながら私たちは体を重ね甘い時間を過ごした。

まだまだ熱がある彼の体は熱く、口付けも熱を帯びていた。それでも私たちは何度も何度も辞めることなく、愛を確かめ合った。そしていつもに増して濃い1晩を過ごした。

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