キミと、光さす方へ
呟いた瞬間、唇が寄せられていた。


ふわりとやわらかな感触が唇をふさぐ。


少し湿っていて、それでいて温かい。


あたしは息をするのも忘れて松本くんを見つめていた。


閉じられた目が微かに揺れていて、長いまつげが夕日でオレンジ色に見えた。


ふっと顔を離されて目を開けた松本くんが、あたしを見てプッと吹きだした。


「え、な、なに!?」


突然笑われてパニックになってしまう。


「目くらい閉じればいいのに」


くっくと笑う松本くんにあたしはカァっと体温が上昇するのを感じた。


きっと今あたしは耳まで真っ赤になっていることだろう。


そんなたしを松本気くんは優しく抱きしめてくれた。


「仲村さんって、俺のこと好きだよね?」


キスを受け入れた後で改めて聞かれると、余計に照れてしまう。


あたしは抱きしめられたままコクコクと頷いた。
< 233 / 302 >

この作品をシェア

pagetop