キミと、光さす方へ
なんだかすごく嫌な予感がする。


こんなときに限って、直哉の『俺は人殺しだから』という言葉を思い出してしまう。


心臓が早鐘を打ち始めて、嫌な汗が流れていく。


なんでこんなに嫌な感じがするんだろう。


聞かなきゃいけないことなのに、聞きたくなくて全身が拒絶しているのがわかる。


「あの時の相手の子の名前はな……」


嫌だ。


それ以上は言わないで。


知りたくない!!


耳をふさいでしまおうとした直前、お父さんの声が届いていた。


その瞬間、絶望感に包まれる。


全身の力が抜けて行って、唖然としてお父さんを見つめる。


「松本直哉」


今、お父さんは確かにそう言った。


弟の自転車にぶつかってきた相手の名前を。


その瞬間人殺しの意味がつながった。


直哉はあたしの弟を自転車で跳ね飛ばした。


そして弟は死んだ。


どれだけ過去の事件を調べても出てこなかったのは、事故として処理されていたからだったのだ。


「嘘だ……」


「あの子が家に来たとき、見たことがあると思ったの。それで名前を聞いて、本人だって確信した」


お母さんの声が震えている。
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