キミと、光さす方へ
最初に目に飛び込んできたのは《あいつマジきもい》という文章で、ドキッとしてしまった。


「なにこれ、悪口が書いてあるの?」


聞くと、泉は慌てた様子で人差し指を立ててシッ! と言った。


しきりに周囲を確認している。


「これ、学校の裏サイトなんだよ」


小声で言われてあたしは目を見開いた。


「裏サイトって、じゃあ……」


そこまで言ってあたしは視線をスマホに落とした。


裏サイトということは、これは本当に誰かへ対しての悪口だということになる。


「いいから、読んで」


泉に促されてあたしはまた視線をスマホに落とした。


泉がこんなに気に掛けるということは、もしかしたらあたしのことが書かれているのかもしれない。


そんな風に考えて、嫌な汗が背中を流れていくのがわかった。


《マジウザイ。暗くて怖いし》


《よくあんなので学校くるよなぁ》


読めば読むほど、それは自分のことのように感じられて動悸がしてきた。


呼吸が苦しくなって、胸に手を当てる。
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