闇に堕ちたシンデレラ
「よし！盗りに行こうっと！」

あたしはコートを羽織って家を出る。冷たい風が体にぶつかってくるけど、これからまたあたしのアクセサリーが増えると思うと笑顔しか浮かばなかった。



いつものように成功すると信じて疑わなかった。

防犯カメラや店員の死角になるようにして、こっそりかばんの中にティアラを滑り込ませる。そして買いたいものがなかったという風に店を出た刹那、大きなベルが鳴り響いた。

「えっ？何々？」

「何の音？」

店にいたお客たちは驚いた顔でキョロキョロと辺りを見ている。これって、ティアラにレジを通さないと音が鳴る装置がついていたってこと？

「お客様、申し訳ありませんがかばんの中を見せていただけますか？」

店員があたしに声をかける。かばんの中には煌めく宝物が入ってる。まずい、捕まったら警察に逮捕されてしまう。

あたしは何も言わず、店を走って飛び出した。後ろからは「止まりなさい！」という声がするけど、気にせずに走る。
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